西式健康法の基本は、力学、物理学

 

あなたの足はなぜ浮腫む?
水分の摂り過ぎ? たんぱく質の不足? それとも遺伝的体質? 残念ながらいずれも不正解です。
足の浮腫みには二つの要素が関係しています。
一つは重力。血液にかかる重力が、常に血液を下へ引っ張ろうとして心臓に戻りにくくしています。さらにもう一つは、血液を足から心臓に戻すための仕組みを使わないからです。
重力が掛からないようにして、さらにその仕組みさえ働かせれば足が浮腫むことはありません。
全身を流れる血液に対して、重力の悪影響を受けないようにするためには横になっているのが一番です。
血液を心臓に戻す、静脈血管の積極的還流システムのことは「筋ポンプ作用」といいます。
四肢の筋肉が収縮拡大すると、その周囲の静脈血管も収縮、拡大を繰り返します。四肢の静脈血管には、心臓方向へ向かわせる一方通行の弁(静脈弁)がありますから、四肢の筋肉の収縮、拡大の繰り返しによって、静脈血は積極的に送られていくことになります。
この筋肉、静脈血管、静脈弁を利用した、静脈血還流のためのポンプ作用を「筋ポンプ作用」と呼びます。
つまり、十分に歩行さえしていれば浮腫むこともない、ということです。ヒトは、生きるためには歩き回る以外の方法はないはず、ということで、立っていれば歩く、必要がなければ地べたにお尻を落として座り、夜は横になって眠る、ということが主要な姿勢です。
体の中で循環に支障が出るほどの高低差が生じているときには、それを補うシステム(筋ポンプ作用)が作動するようにしているし、睡眠中などそのシステムが働かないときには、本能的に大きな高低差が生じない姿勢を維持する、ということでもあります。本来のヒトは足の浮腫みなどは生じないという前提なのです。

 

歩き回る以外に浮腫みを取る方法はないの?
毛管運動
でも現代人は長時間椅子に座ったまま、なかには立っていることが仕事、といった生活を強いられている人が少なくありません。重力の悪影響を避けたいからと言って、一日中横になっているわけにもいきませんし、仕事中に歩き回るわけにもいきません。ではどうしたら良いでしょう?
重力の作用を逆向きに働かせてやれば、短時間で血液を還流させてやることができるのではないか、さらに、その際に脚足部に微振動を加えれば、より効率よく還流させてやれるはず、という考えに基づいて考案されたのが、仰臥状態から四肢を真上に挙げて微振動させる西式健康法の「毛管運動」です。
末梢の静脈血、リンパ液を、重力と微振動によって最も効率よく還流させることにより、毛細血管レベルの血流は自然と促進されることになり、動脈血の流入もスムーズになりますから、血圧の高い人は血圧も自然と低下するというわけです。

足首ポンプ運動
重力は特別に利用しなくても、筋ポンプ作用さえ上手に生じさせてやれば、やはりこの問題は解決できることになります。立った姿勢で歩き回るということは、筋ポンプ作用が発現すると同時に、常に重力のマイナス影響を受け続けることになります。それなら、横になって、重力によって生じるマイナス影響を除いた状態で筋ポンプ作用を起こしてやれば、歩くよりはるかに少ない体力と実行時間で同じ効果がえられるのではないか?これが足首ポンプ運動(足首の上下運動)です。

力学的に見る生物の体
生物は、摩訶不思議な存在であり、その体内で起きていること、仕組みにはまだまだ未知な部分がたくさんあります。
良く分からないものを、少しでも理解しようとするときに、不思議なものだからという前提で接するのか、完全なる合理性、科学的視点で理解しようとするのか、これが決定的な分かれ道です。
良く分からないことだから、例えば「陰陽理論」という良く分からないものに解釈を委ねるのか、まだまだ分からないことだらけではあるけれども、徹底的に科学的な姿勢、視点で臨むのかということです。
脊椎動物の歴史は3億8千年~4億年程度と考えられているようですが、直立姿勢が基本となる人類の直系祖先の歴史は、最大に見ても百万年程度です。
脊椎動物の進化の中で、背骨は長いこと「柱」ではなく「梁」として使用され、梁としてより適合するように進化、改良されてきたわけですが、その期間は梁として使用されてきた期間の、わずか1/400 の期間に過ぎません。
400メートル走競技で、399メートルを四足で走り、最後の1メートルで立ち上がった、ということになります。
脊椎動物の進化による構造的な変遷を、西式健康法創始者 西勝造が専門としてきた土木工学による構造物として考えた場合、四足動物が横向きに使用している脊柱は「梁」であり、われら人類の脊椎の使用法は明らかに「柱」です。
土木建築の構造物として橋梁を考える場合、梁に当る部分は鉄骨を組み合わせて、強度と柔軟性の二つの要求を満たそうとします。これは力学的には曲げの力に対して強い構造と言えます。
一方で柱に当る橋脚には、曲げには弱いが圧倒的に圧縮荷重に強い鉄筋コンクリートが使用されます。
木材であれば、同じように見える柱と梁ではありますが、実際は横向きに用いるか、縦方向で用いるかといった、使い方、力の掛かる方向によって、選ぶべき素材も全く異なってくる、というのが土木だけでなく、力学的に考えた場合の常識ということになります。 
しかし、脊柱をもっぱら柱として使うことの多くなった人類ではありますが、基本的には梁として発達してきたものを柱として使用しています。
この用途の、最近ともいってよいほどの急激な変更が、人間の病気、不健康の大きな原因になっているのではないか、という考えが西式健康法、いや生物の構造を力学的、物理学的な見地で観察した場合に見えてくるということになります。

人は不完全な生物?
創造主?も進化も、それほどうかつではありませんでした。長らく梁として使用してきた脊柱を橋として使用するに際して、当然ながら構造的には補強のための改良がされていますし、問題点を軽減するためのさまざまな工夫が盛り込まれています。.
例えば、人類は自分の肛門周囲の手入れをするときには手を用いますが、多くの四足動物は自分の舌で行ないます。柱としての強度も考慮しなければいけなかった人類は、脊柱の骨(椎骨)と骨の間隔を狭くしたり、椎骨そのものも薄くすることによって、柱として使用する場合の強度が増すように改良されています。
椎骨の間隔が狭ければ、そこから全身に配線されている脊髄神経に対する影響が出やすくなる、という問題が生じますが、生きるため、起伏に富んだ自然の地形のなかを歩き回れば、重心を取るために前後左右に平均的に脊柱を曲げるだろうし、同じように椎骨の旋回もなされるであろう。つまり、本来の人間としての生活(多分数万年前のことということになります)さえしていれば、問題にならなかったことが、文明の発達によって急速に変化してきてしまったということが、人の脊柱に姿勢という問題を生じさせ、その姿勢が神経の導通に、内臓の働きに重大な影響を与えていると考えられるので、その脊柱を正すということが極めて重大であり、正しい脊柱配列に矯正する、または正しい状態を維持する、ということが極めて重要なのではないか、ということが西式健康法の中心的な主張です。